ファイントゥデイホールディングス(420A)は本日が仮条件発表日かつBB開始日、BJC(440A)は本日が公開価格決定日となっておりましたが、両社とも上場中止となりました。


ファイントゥデイホールディングス(420A)
ファイントゥデイホールディングスは昨年12月17日に東証プライムに上場予定でしたが、同年12月2日に上場延期となり、これで2回目の上場中止(延期)となりました。
同社は「昨今の株式市場の動向などを総合的に勘案し、募集株式発行と株式売り出しを中止する」としていますが、日経平均が史上最高値を更新した状況では疑問符がつきます。
報道によれば、同社の担当者は「投資家側の判断する株価が弊社基準を満たさないのであれば、上場の手続きを中断する可能性もある」と述べていたということですので、機関投資家の評価としては、想定価格を3割引(昨年の上場承認時の想定価格比)してもまだディスカウントが足りなかったということでしょう。
市場がプライムからスタンダードへ変更されており、何が何でも上場(イグジット)したいと思っていただけに、今回の中止は少し意外でした。
ブルームバーグの報道によれば、前回の上場延期の理由として、割安でないと投資家に映った可能性と成長戦略の懸念が背景にあるとされていました。目論見書に記載の中長期戦略は、当面の間は東・東南アジアを中心に展開していくというもので、現在の取組の延長線上にあるように見えましたので、やはり、成長戦略の懸念を払拭できなかったのではないでしょうか。
上場手続きの再開については今後の市場動向などを見極めた上で総合的に判断するとしていますが、流石に3回目は心象がよくありません。
BJC(440A)
続いてBJC(440A)ですが、最初に目論見書を見た際に、サロンを通じた化粧品を販売している企業で、創業者とファンドによるイグジットということで、ファイントゥデイHDが頭をよぎりましたが、奇しくも同日に上場中止の発表となってしまいました。
想定価格レンジの1,860円~2,210円の平均である2,035円と比較すると、仮条件の上限が大きく窓を開けて下振れており、更に、レンジ下限の1,860円すら180円(9.68%)も突き抜ける、超弱気の仮条件でした。
この超弱気の仮条件をもってしても、機関投資家からの評価は芳しくなかったということでしょう。
こちらの成長戦略はプロダクトライン拡張・既存チャネルの強化、toC直送モデルによる新規開拓やグローバル展開、M&Aを掲げていました。
BJCの強みは「参入障壁が存在するサロン流通に特化」とされていますが、toC直送モデルやグローバル展開ではあまり関係がないような気がします。競争の激しい市場と思いますが、どれほど取り組みが奏功するのか懐疑的でした。
こちらはまだ(?)1回目の中止ですので心象はまだマシですが、2回目があればその時もファイントゥデイHDと重ねてしまいそうです。
おわりに
直近のIPOの状況としては、仮条件で大幅ディスカウントして割安感を出しても結果は芳しくなく、2社とも上場を強行したとしても、公開価格は仮条件の上限で決まらず、初値は公募割れとなっていたかもしれません。
単純に安くしただけではダメというのが今のIPOの状況といえますので、出直しの際は割安感を押し出すだけでなく、しっかりと成長していく姿が想像できるというレベルでないと2度目・3度目の上場中止となるかもしれません。
こちら側としても、IPOなら何でも申し込むのではなく、玉石混交であるということを念頭に置いて、しっかりと見極めていきたいですね。
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